夜空

 夜とはどんなものであったろうか。
 ここにはヒトが作った太陽とやらの明かりがいつも照らしている。遠い記憶が確かなら、夜とは暗闇の時間だ。それもこのようにヒトに捕らえられた身で長く過ごすうちにわからなくなってしまった。
『あなたは夜色ね』
あどけなく笑った少女を思い出す。あなたの黒い色は夜の色よ、ただの黒なんかじゃない。そう熱弁を振るったときの熱っぽい顔を思い出す。
 ああ、燐。でも私はその色が思い出せない。とても嬉しかった、この漆黒の翼を褒めた者などいなかったから。だから思い出したい、その夜色とやらを。




to be continued‥?