埃が光に透けている。色の着いた硝子を通った光は埃っぽい室内を照らしていた。
 カァはその中に立っていた。
 息をひそめて埃を被ったパイプオルガンを見やり、溶けかかったままの短い蝋燭を見、長い間誰に座られることもなく端然と並ぶ長椅子を見た。
 床にぼんやりと映ったステンドグラスの聖母を踏み締め、分厚い埃を踏み付けた。

 ここは、こんな所だっただろうか。
 生誕を祝わない教会などではなかった。
 毎週日曜日は赤ん坊を連れた若い女性、やんちゃ盛りの小さな子供たちや杖をついたおじいさん、世話と噂好きのおばあさんまでもが牧師の説教を聞きにやってきていたものだった。十二月二十五日には生誕を祝うため、前夜から祭壇にいつもより多くの蝋燭に火を灯した。

 今はもう遠い。もう我々は、神を失ってしまったのだから。


神様の裏切り
(人とどちらが先か?)