海色の空

 翼もつくじらが合唱しているみたいだ。ぼくは眠たいのだけど、くじら達の歌があんまり楽しそうだから、ほんの少しの間起きていることにする。ふよふよ漂っていると、歌うだけで足らないくじらが遊びで出したらしい、あわあわに巻き込まれてしまって上へ上へ運ばれてしまった。時間はかかるけれどまた沈めばいいから、いいけど。くじら達の出したあわあわは海の中できらきらするいのちと同じみたいに光っている。海の底に住んでいるぼくは光ったら食べられちゃうけど、真ん中あたりに住んでいるいのちは、ここにいるよって言うみたいに光っている。
 あわあわは海面に出るとはじけていなくなってしまった。その代わりに、ぽちゃん、きらきらしたつぶつぶが落ちてきて、ぼくはぶつかりそうになった。きらきらしたつぶつぶは他にもたくさん、雨みたいに落ちてくる。ぼくはおっかなくって頭を引っ込めた。
 ちょっと沈んで見ると、ぼく以外にも海面にはたくさんのいのちが上がって来ているみたいだった。そのうちのひとつが、ぼくを海面までひっぱり上げた。
 ぼすん、ぼくと同じ、いのちのひとつは傘を広げて、ぼくを中に入れてくれた。ぼすん、ぼすん、あのつぶつぶが傘に当たる音がした。  ほら、見て。
 相合い傘をしながら、そのいのちが示したのは空だ。まるで海の中みたいに、きらきら輝く空できらきら輝くつぶが尾を引いて走って、落ちてくる。こんなにたくさん落ちてきたら空がまっくらになってしまうんじゃないかってくらい。

160107


木村凌和の町は、 海に近くて潮の匂いのする町です。 白いカモメが空をとび、ちいさな船がいくつも港へやってきます。 ゆるく穏やかな時間の流れる、港町です。
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木村凌和の海は、 眩しい宇宙色の海です。 流星群の夜は、星が雨のように降ります。 海底に棲むものたちは、傘をさして水面に顔をだします。 鯨のうつくしい歌を聴きながら。
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診断メーカーでこんな内容が出たのでむらっとして。なので落ちとかないです。