これは毒だ。私は飲まなければならない。
さあどうする? 男が銃をひらつかせる。武装した三人組。三つの銃口が私に向いているが、どうにかできる自信はあった。
分かっている。分かっているのだ。装備でも人数でも圧倒しているわけではない。それでも私を釘付けにできる状況を作り上げた、知略が上であると見せつけている。屈辱的だ。この私が。
自分の命なら捨てられた。あの子が関わっていなければ、他になんだって。あの子のために仲間を裏切って、今度はあの子を。
あいつのためだ。男が見せびらかす毒を、私は頷いて奪い取る。
やっと、私だけのものになったあの子。あの子に、私は、この先ずっと嘘しか言えない毒を飲み干す。
2016/7/2
twitter300字SSに参加したもの。お題:のむ