私のともだち

 あの子が来たときのことを覚えている。朝早くの、しんとした、ぴりっと肌に刺さる空気。朝露のむわりとした青臭さ。
 四角く切り取られた朝陽の中であの子は輝いていた。
 研修に来ました。言った声のよそよそしさ、こちらを値踏みする眼。きんいろの髪が輝いてきれいで、あおい眼はとても深い。私と同じいろをしているのに、私の眼とはまるで違った。もうなにも求めることをなくした私とは正反対の眼を、魔術学校の生徒はしていた。彼女はアレイシアと名乗った。
 覚えている。覚えているのは、彼女が私を超えるだろうとわかったからだろうか。
 待っているのよ。ひとりきりの部屋では声に出すのも虚しい。
あなただけが私を滅ぼすことができるのだから。


160903
Twitter300字SSに参加したもの。
お題:訪れ